夜中に血圧170!?
―クーラーなしで寝る高齢者に潜む“静かなリスク”とは―

「夜中に頭が痛くて目が覚めたら、血圧が170もあった…」
そんな声を、訪問看護や病棟勤務で何度も耳にしてきました。
この季節、高齢者の体は、気温や湿度の変化にとても敏感です。特に夜間、クーラーを使わず寝ていると、自律神経が乱れ、体温調整がうまくいかず、**“夜間高血圧”や“起床時の体調不良”**を引き起こします。
🔹なぜ夜に不調が起きやすいのか?
夜間、私たちの体は副交感神経が優位になり、心拍数や血圧は下がるのが自然な流れです。
ところが、室温が高いまま寝ると、体は熱を逃がせず、呼吸や発汗を通じて無理に調整しようとします。
その結果、交感神経が夜間に強く働いてしまい、本来「休むべき時間帯」に体が“戦闘モード”に近い状態になります。
→ これが、高血圧・動悸・めまい・寝汗・脱水などを引き起こす要因となります。
🟠 看護師の視点から見る“夜の体調不良”の観察ポイント
以下のような症状が見られた場合、熱中症や夜間高血圧の可能性があります。家族の方も注意して観察してください。
✅寝起きにフラつきがある
✅頭痛・吐き気・喉の渇きが強い
✅血圧が普段より20以上高い
✅脈が速い(90以上)・汗をかいているのに冷たい
高齢者は感覚が鈍くなっており、「暑い」と感じにくい場合があります。
本人が「大丈夫」と言っても安心せず、数値や表情を観察することが大切です。
🟡では、どうすればいい?
1.夜間は必ずクーラーをつける(設定温度26~28℃)
2.一晩中つけっぱなし(タイマーは使わない)
3.サーキュレーターで風を循環
4.寝る前と起床時にコップ1杯の水分補給
5.朝の血圧測定を習慣に
私たち看護師も、夏場は訪問先や病棟で「夜に熱中症っぽくなった」「朝起きたら頭痛がした」という訴えを多く受けます。
その多くが「夜、クーラーを切って寝ていた」という共通点があります。
🟠最後に
「冷やしすぎるのが心配だから…」と、クーラーを避ける方がいますが、現代の夏は命に関わる暑さです。
クーラーは、上手に使えば「薬」と同じ。安心して眠るための医療的サポートと捉えてください。
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ご家族の方も、「おやすみ」の前に、室温チェックと声かけを忘れずに。
それが、“命を守るケア”になります。
以下に厚生労働省の公式サイトの’高齢者のための熱中症対策リーフレット’’eヘルスネットによる高血圧基準’で熱中症予防法や具体的エアコンの活用法、高血圧や自身の血圧値は正常かどうかをチェックしてみてくださいね!